Born In The 60’s -オヤジの法則-

オヤジだって遠慮せずに今を楽しんでいい。 オヤジだって意地を張らずに弱音吐いていい。

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2006佐渡国際トライアスロン参戦記-ラン・ゴール編-

2006-09-15-Fri-22:06
ランスタートの時点で、タイムは8時間45分が経過していた。
これなら制限時間までにゴールするには42.2キロを6時間45分で
走ればいいんだ・・・
なんてことは全く考えなかった。
そのときに思ったのは、5時間15分以内で走りきれば、
総合タイムで14時間切れるんだということであった。

守りには入らないぞ。あくまで攻めよう。 スタートしてまもなく佐和田の商店街を走る。
沿道にはたくさんの方々が声援や拍手で僕らを送り出してくれている。
ありがとう。ありがとう。
一人ひとりの顔を見て、笑顔で応える。
何度もありがとうと言っているうちに、なぜだか涙が溢れ出そうになる。
まだ、ゴールでもないのに。

商店街を抜けて喧騒が遠のいてくると疲れの波が早くもやってきた。
まだ始まったばかりだというのに既に足が重たい。

佐渡のバイクコースでは美しい海岸線がメインの風景だとすれば、
ランコースのそれは広大な緑の田んぼである。
色はまだ緑色ではあるがしっかり育った稲穂の波が美しい。
僕の地元大島と佐渡島はスケールの違いこそあるが
地形や雰囲気がなんとなく似ている。
でも、決定的に異なっているのは、この田んぼだ。
大島には田んぼがない。
佐渡は田んぼがある分、景観のバリエーションがより充実している。

そんな田んぼと田んぼに挟まれた道を走る。
美しい田園風景は目の保養にはなるが、いかんせん暑い。
最高気温は28度ということであったが、なんとも暑い。
日差しが強いのだ。

2~3キロごとにエイドがあるのはありがたかった。
エイドごとに立ち止まり、冷たい水をガブガブ飲み、
スポンジで頭、首、腕、太ももに水をかける。
ボランティアの方々はみなさん明るくて、親切で、一生懸命で、
エイドに到着するたびに心が和んだ。
そこは僕にとって身体の休息所というよりは心の休息所だった。
とにかく最初から最後までエイドだけを心の支えにがんばって走った。

スタートから5キロ地点でタイムはちょうど30分であった。
おっ?思ったより速いじゃないか。
結構自分としてはヘロヘロになって走っていたのだけれど。
そして10キロ地点でのタイムはぴったり1時間。
おう、いい感じだ。キロ6分ペースだ。
これじゃ、14時間切るどころか、13時間も切れちゃうんじゃないか?
そんなバカなこと考えたのもほんの一瞬のことであった。

10キロ過ぎたあたりからだ。
道が長い上りになっていることに加え、向かい風が続いた。

・・・苦しい。
足が重たい。
このつらさ、ハンパじゃない。


これか。
これがケイチョさんやγさんが言っていた“なんじゃこりゃ感”か。
この苦しさ、僕の経験でいえば、荒川マラソンの30キロ地点を
過ぎてからの苦しさに匹敵する。
でも、今はまだたったの10キロだ。
あと30キロ以上残っているのだ。
あまりの先の長さに途方にくれてしまう。
今からこんなんじゃ、あと30キロなんてもつのか。
身体のつらさもさることながら、精神的にも相当へこんでいた。

そこかしこに既に歩いている人が何人もいる。

でも、僕は歩かない。
歩いたら終わりだ。

心も身体もへとへとなのに、
走ることをプログラミングされたロボットのように
僕は黙々と走り続けた。

ようやくスタートから17.7キロの第1折り返し地点に到着。
ここでも大勢の人たちが声援を送ってくれていた。
女子高生3人が各々水を含んだスポンジで頭から水をかけてくれた。

どうですか?気持ちいいですか?
うん!すっげー気持ちいい。ありがとう!

颯爽と走り出すも、やっぱり苦しい。
次の目標は25キロ地点にある第2折り返しだ。

次第に足も痛み始めた。
故障の痛みではなく、単なる(まあ、単なるでもないのだが)
筋肉痛なので深刻になる必要はなかったけど。
ペースは落ちるところまで落ち、キロ7~8分台にまでになっている。
精神的にも落ちるところまで落ちていた。
30キロ地点以降の僕はどうなってしまうのだろう。
そればかり考えていた。
沿道からの
がんばれー!
の声に笑顔で応えることができなくなっていた。
軽く手を挙げたり、うなずいたりするだけだ。
心の中でごめんなさいと言いながら。

足の痛みも我慢して、なんとか第2折り返しまでやってきた。
気がつくとお腹がぺこぺこだ。
ここのエイドでバナナを1本むさぼるように食べた。

まだ25キロではあるが、二つの折り返し点を通過してしまうと、
なんとなく気分的に上向きにはなってくる。
そして日が傾いてくるとともに涼しくなってきた。

タイムを確認し残りの距離とを計算する。
・・・まだ、間に合うかもしれない。
残りをキロ6分ペースで走れば、14時間切れる。

とても不思議なことに、
今頃になって元気が出てきたのだ。
涼しくなってきたからか、それともバナナパワーか。
とにかく相変わらず足は痛むものの、リズムがよくなってきた。
キロ6分、キロ6分・・・
お題目のようにぶつぶつ唱えながら走った。

あたりはすっかり暗くなってしまった。
街灯のない農道はかなり暗い。
ぽつんぽつんと走っている人、歩いている人が現れては
僕はタッタッタッタと抜いてゆく。
自分の呼吸音と地面を蹴る音、そして虫の声しか聞こえない。
暗い田舎の夜道をひたすら走る。
こんな自分が滑稽に思えてくる。
でも、そんな自分が好きになってくる。

暗い夜道にフワッと優しい光が浮かぶとそこはエイドだ。
ほっとする。
この頃になるとさすがに身体も冷えてきて、
エイドでは温かいお茶をいただいて飲んだ。
ごちそうさま!
元気が復活し、エイドを後にする。

残り10キロ。
タイムを確認する。
13時間を少し過ぎている。
エイドでの休憩時間を計算に入れてなかった。

・・・もう、だめだ。

残りをキロ6分で走っても14時間は切れない。
ちくしょう、せっかくここまでがんばったのに。

・・・でも。
ダメでもいい、最後まで全力を尽くそう。


ペースを上げた。
上げることができた。
10キロなんて毎朝走っていた距離じゃないか。
どうってことないさ。
身体は、もうやめてくれーと訴えている。
それでも、どんどんペースを上げた。
この時間帯が最も速いペースだった。
疲れきった僕の体のどこにこんなパワーが隠れていたのだろう。
走りながらタイムを何度も確認した。

最後のエイドに到着し、ここでも温かいお茶をいただいた。
はあ、はあ、ぜえ、ぜえ・・・あと何キロですか。
あと3キロよ。

よし、あと3キロだ。
もうちょっとだ。
筋肉は悲鳴をあげていたが、気力が身体を引っ張った。

田んぼばかりの道を抜け、市街地に入ってくると
そろそろ終焉が迫っていることがわかる。
沿道の声援が
もうちょっとだよー
に変わる。
こんな時間だというのに、まだ応援してくれる人がいる。

あと少しだから、がんばってください!
姉妹だろうか、小学生ぐらいの女の子二人に声をかけられる。
ありがとう!と手を振って応えると、
はにかみながら嬉しそうな顔をしていたのが印象的だった。

ラストスパートだ。
とうとう前方に佐和田の商店街が見えてきた。
嬉しかった。
おばあさんが、お帰りなさい、と声をかけてくれた。

帰ってきたんだ。

佐渡のレースにはゴールが二つあるのだとこのとき思った。
一つ目のゴールが、この佐和田の商店街だ。
沿道はスタート時よりもたくさんの人で埋め尽くされ、
大声援と拍手で迎えられる。
気持ちいい。
商店街に入ってくる選手一人ひとりのプロフィールがアナウンスされる。

ゼッケンナンバー1306番は、伊豆大島からやってきました○○さんでーす!

伊豆大島からだってよ、という声が聞こえた。
そうです。はるばる海を2回渡って来たのです。この感動を味わうために。
声援を送ってくれている一人ひとりに手を挙げて、満面の笑みで感謝の気持ちを示す。
ありがとうございます!ありがとうございます!
大きな声で応えた。

商店街を抜けて左折すれば、あとはゴールのあるグランドが見える。
そして、いよいよそのグランドに入った。
ここでも大勢の人に拍手と声援で迎えられる。
笑顔で、背筋を伸ばし、弾むようなリズムで走った。
ホームストレートに入り、観客の人とハイタッチを交わす。
そして正面には、夢にまで見たフィニッシュゲートだ。
暗くなってからのゴールも悪くないなと思った。
神々しく輝くフィニッシュゲートが天国の門のように見えたから。

目の前には僕のためにゴールテープが張られている。
あと5メートル、4メートル、3メートル、2メートル、1メートル・・・
でもテープの一歩手前で僕は立ち止まった。
このまま走り抜けてしまうのがもったいない気がしたのだ。
どうしようかと思ったが、
そこで、両手を高々と上げて叫んだ。

っしゃあーーーーー!

そして一歩踏み出した。



ゴーーーール!




・・・終わった

・・・やっと終わった

・・・ついにやっちまった


喜悦と快感と達成感と幸福感と満足感と安堵感とがごちゃ混ぜになった
なんとも言いようのない感覚だった。
42年間生きてきて、こんなのは初めてだ。



火曜日。
レースの翌々日。
大島の家に戻り、久しぶりに家族に再会した。
そして、完走メダルとフィニッシャーズポロシャツを広げて見せた。

すっごーい!金メダルだ!

トラオの首にかけてやったら大喜びだった。
まぶしく輝くメダルはずっしりと重たい。
トラオは穴の開くほどそれを眺め、撫で回し、重みを確かめていた。
もうそろそろ返せと言っても一向に返そうとしない。
レース翌日の閉会式会場で購入した自分のゴールシーンの写真も
みんなに披露した。
トラオは写真を見るなり

パパ、かっこいいー!

今まで僕のレースを見てもそんなこと口にしたこともなかったのに・・・(笑)
そしてカミさんもよかったねえ、よかったねえと
自分のことのように喜んでくれた。
これが一番嬉しかった。
家族にはいろいろと迷惑かけたからね。

一年前に佐渡のAタイプ挑戦を決心してからというもの
何度となく悩み、迷い、後悔したこともあったが、
今になれば本当にやってよかったと思う。
初めてのロングはこうして大満足に終わった。
ちょっと出来すぎだ。

そして今までずっと自分のことを根性なし男だと思っていたのだが、
今回ばかりは、俺もなかなかやるじゃないかと自分を見直してしまった。



幸せだった。

DSCN0819.jpg





僕がこんなに楽しい思いができたのも、幸せな思いができたのも
たくさんの人の支えがあったからです。
ボランティアの方々、大会運営の方々、沿道で応援してくれた方々、
ブログ仲間の方々、友人、そして家族。
心から感謝しています。
ありがとう。
トライアスロンは個人競技ではあるけれども、
決して一人ではできないスポーツなんですよね。
こんな素晴らしいスポーツに出会えて本当に良かった。 

〈正式記録〉
Aタイプ出場者569名 完走者480名

スイム 1時間22分52秒(342位)
バイク 7時間22分29秒(295位)
ラン   5時間02分39秒(236位)
総合  13時間48分03秒(250位)
 

                        佐渡参戦記 -完-





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COMMENT



改めまして

2006-09-16-Sat-13:10
完走おめでとうございます。
余裕のゴールでいらしたみたいですね。
さすがです。
majanさんにお会いして、背が高い方でびっくりしました。
いかにもスポーツマン!って感じですものね。

私も、エイドの皆さんの励ましと、
「どうにかして、スムーズに手渡そう」
「元気だしてもらおう」ってしてくれる様子に
走ってる時からウルウルでした。
自分は見ず知らずの誰かの為に、
こんなに一生懸命になれるだろうか?って
考えました。

金メダル、輝いていますね。おめでとう。

2006-09-16-Sat-18:13
同じ時間に同じ所を走っていた
同胞として感じるところ多々あります。
凄い親近感が湧きました。
宮古島なんかじゃなくて佐渡にいらっしゃい。
2回目来たっていいんですから(笑)
次回は飲みましょう!

2006-09-16-Sat-19:27
いいレポートでした。
読みごたえありました。
majanさんのがんばりはご自身でも評価できるでしょうが
帰宅してからの奥様やトラオちゃんの
ねぎらいと賞賛の声が一番の表彰式ですね!

読んでいて

2006-09-17-Sun-06:46
一度出た大会なので
情景が手に取るようにわかりました。
前半とラストのたんぼ道、上り坂、
折り返し後の風景、
ラストのアナウンス。
僕はラストのアナウンスに勇気づけられて、
ホームストレートで2人抜いたんですよ(笑)

majanさん、来年もいらっしゃい。
今度の課題はエイドで止まらないことですね。
走りながらさっと取って行けばもう15分短縮です。

家族にも感謝を。
想像よりもがっちりした人でビックリ。

2006-09-17-Sun-10:33
>annさん
annさんも完走おめでとうございます。
一段ずつ確実にステップアップしてますよね。
来年はそろそろどうですか?
ロング。

見知らぬ人のためにこれだけ一生懸命になる、
確かに自分にできるだろうかと思ってしまいますよね。

>ゴン太さん
ランのときは、どこかでゴン太さんとすれ違わないかと
探していたのですが・・・
レース前までは、来年は佐渡はもうやめよう
と思っていたのですが、
終わってみると、やっぱりまた出たくなってしまいました。
ゴン太さんともいつか、ゆっくり飲みながら語り合いたいです。

>CHIXIさん
長々とひとりよがりの文章ですみませんでした。
どちらかというと自分のために書いたのです。
記憶が薄れてしまう前に、思い出を残しておこうと思って。
でも、途中から書くのがかなり億劫でした(笑)

トライアスロンを続けていくためには家族の理解は
不可欠ですよね。
その点、夫婦でやっていらっしゃるCHIXIさんは
実に恵まれています。

>ケイチョさん
懐かしいでしょ。
来年あたりどうですか?

エイドで止まらない・・・
なかなか、というかかなり厳しい課題だ。
でも、考えてみれば、フルマラソンのレースの時には
エイドでいちいち止まらないですもんね。
マジで今度はやってみようかな。

2006-09-18-Mon-22:11
majanさん、かっこいいゴールシーンですね。
いつも優しい文章なので、もう少し線の細い片を想像してましたが、ぱっと見にもめちゃめちゃアスリートじゃないですか!出来すぎなんかじゃないですよ。

・・・ゴールシーンの写真て、目の毒。だってそのシーンに自分も置きたくなっちゃう(笑)

2006-09-19-Tue-00:20
昨日のことのように情景が目に浮びます。
途中からめげずに走れたことは練習の賜物ですね。おめでとうございます。

最近は、ゴール前が商店街なのですね。知らなかった。以前は、海岸線を行き、右折してゴールでした。
15年前、夕焼けを見ながら海岸線をもがく自分の姿がオーバーラップして、ウルウルものでした。

やっぱり、ロングは感激度が違いますよね。
来年どうしようか、結構迷っております。。。


2006-09-19-Tue-21:38
>みのりんさん
みのりんさんも皆生のゴールを思い出したでしょ。
僕のゴールシーンは写真で見ると
余裕のゴールって感じですが、
このあと、うずくまるようにしゃがみこんでしまって、
しばらく立てなかったんです。
やっぱり限界越えてたと思います。

>さむさん
さむさんが以前コメントしていただいたとおり、
大島でトレーニングしていれば、佐渡でも十分
通用しました。
さむさん、どうですか?
来年は大島といわず、いっそのこと佐渡挑戦してみては。
多少のブランクがあっても、今からなら十分間に合います。
ロングはいいですよ。
ま、ロングの素晴らしさはさむさんもよーくご存知でしょうけど。

2006-09-20-Wed-14:01
読み応えあったよ。
な、すばらしいよな、ロングって。

タケさんも言っていたけど、トライアスロンって一人でするスポーツなのに、でもみんなに支えられてやってるんだよな。

さあ、次は東京マラソンだ。何分が目標?おれは3時間10分!

2006-09-20-Wed-22:05
>やまぼう
東京マラソン出る気満々だな。
抽選なのに。
今度のフルマラソンでは、そうだなあ・・・
とりあえず3時間30分が目標だな。

佐渡A>銚子>東京マラソン

2006-09-20-Wed-23:04
お久しぶりです。
私も佐渡A出てたんで現地でお会いすれば良かったですねぇ。本日久し振りにここに来て出場されてたことに改めて気づいた次第。遅かった!失礼しました。
詳細なレポート拝見して改めて自分のレースもマザマザと思い出されました。
私も参戦記を3D心拍GPS画像とともにブログにアップしてますのでご覧ください。http://homepage2.nifty.com/hr_gps/
私の次のレースは銚子マリーナです。
東京マラソンは私も申込みましたが、この倍率じゃぁ難しそうですねぇ。その翌月の第1回湘南国際マラソンにも申込みました。コースが私の家の前を通るということなので...。どっちにせよ、5時間くらい観光旅行モードで写真とか撮りながら走るつもりでいます。
では。

2006-09-21-Thu-21:31
>no10key2さん
そうなんですよねえ。
no10key2さんが佐渡に出ていたのを僕もあとで
知ったのです。
もっと早くわかっていればお会いできたのに。
残念です。

湘南国際マラソンいいですね。
気持ち良さそうですよね。
荒川市民マラソンは風景がイマイチなんです。
銚子マリーナがんばってください。

感動した!!!!

2006-10-01-Sun-16:53
majanさんお疲れ様でした!完走おめでとうございます!!何だか最後のゴールのところ、呼んでて泣きそうになっちゃいましたよ~・・・・・。

これだからやめられないですよね、スポーツは。

何だか元気もらっちゃった。

2006-10-01-Sun-21:50
>ミッキーさん
お久しぶりです。
応援ありがとうございました。
おかげさまで無事というか大満足な結果で完走できました。
こんな歳になって新しいこと始めたんですけど
結構やれるものなんですねえ。
ミッキーさんも横浜でまた新しいことに挑戦してますね。
思う存分エンジョイしてください。

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